こんにちは、鈴の音です。
B型事業所のことを「遊んでばかり」「楽しそう」と言われることがあります。
笑顔が多く、のびのびと過ごす様子が、そんなふうに見えるのかもしれません。でも、私たちにとって“楽しい”は“ふざけている”のではありません。
そして、“のんびり”は“何もしていない”わけでもありません。
今回は、B型事業所という場所に向けられる「ただの遊び場では?」という視線に対して、私たちが大切にしている“働くということの本質”を、一緒に考えてみたいと思います。
◇“遊んでるだけ?”の奥にあるもの
手作業をしながら談笑する姿、ゆっくりとしたペースでの作業、ほっと一息つく時間。 その光景だけを切り取ると、確かに「仕事」とは違うように見えるかもしれません。
でもB型事業所には、「毎日ここに来られるようになるまでに長い時間がかかった方」がいて、「初めて道具を手に取って作業できた」という一歩があります。
遊んでいるように見える笑顔の裏には、その人だけが知る勇気や努力が、隠れているのです。
◇変わりゆく“働き方”の価値観のなかで
ここ数年、「働くこと」の価値観は大きく変わりつつあります。リモートワーク、副業、ワークライフバランスといった言葉が広がり、働き方はひとつではなくなりました。「成果」だけでなく、「自分らしさ」や「心地よさ」を重視する声も増えています。
そんな時代の流れのなかで、B型事業所での取り組みもまた、“働き方のひとつ”として、確実に見直され始めています。
“会社に勤めて給料をもらうこと”だけが働くことではありません。たとえペースがゆっくりでも、社会とつながり、自分の居場所を築いていくB型での営みは、「働く」ということの大切なかたちのひとつです。
◇楽しさは、力になる
鈴の音では、入居者さんが心から「やってみたい」と思える作業を大切にしています。
作業に夢中になっているとき、誰かと笑い合いながら手を動かしているとき―― その“楽しい”気持ちは、継続の原動力であり、やがて「誇り」に変わっていきます。
心が動く時間は、生きる力を育ててくれます。
笑顔が多いのは、むしろ自然なことです。
◇「誰かのためにできた」その一歩が、働くということ
ビーズのアクセサリー、火山灰を使ったキャンドル、育てた植物。
鈴の音の利用者さんがつくる作品には、あたたかな手のぬくもりと「誰かに喜んでほしい」という想いが込められています。
B型事業所は、ただの遊び場なんかじゃありません。 人生を取り戻す場であり、自信を育てる場所であり、未来への一歩を踏み出す出発点です。
鈴の音は、これからも「その人らしく働く」を支えながら、丁寧に、静かに、ともに歩んでいきます。