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工賃以外に申請できる手当や割引サービス

こんにちは、鈴の音です。

B型事業所での工賃は、一般的な収入と比べるとどうしても低く、その金額だけで生活をまかなうのは、現実的に難しいのが実情です。だからこそ、工賃以外にも生活を支える制度を知り、活用していくことが大切です。

今回は、申請によって利用できる手当や、毎月の出費を軽くする制度について、いくつかご紹介します。

日々の生活費、こんなふうに助けてもらえる制度があります

工賃だけでは生活が不安という方に向けて、金銭的な支援を受けられる制度があります。収入や障がいの状態に応じて、対象となる制度を確認してみましょう。

 

【障害基礎年金(国民年金)】

障がいのある方の多くが対象となる年金制度です。工賃と併用できるため、生活の基盤として役立つ制度です。

  • 2025年度(令和7年度)の受給額
    1級月額86,635円
    2級月額69,308円

障害基礎年金には、障がいが生じた時期によって制度上の区分があり、扱いが異なります。

  • 20歳前から障がいがあった方

→保険料が未納:保険料を納めていないことから、“福祉的な給付”とみなされます。

→所得制限あり:本人の所得に応じて支給額が調整され、一定額を超えると支給が停止されることがあります。

  • 20歳以降に病気やけがで障がいの状態になった方
    保険料を納めている:自分で保険料を納めていたことを前提に、“保険としての給付”とされます。

→所得制限なし:所得制限は設けられていないため、収入が増えても支給が継続されます。

同じように障がいがあるにもかかわらず、制度の仕組みによって受けられる支援に差があることから、「なぜ同じ障がいなのに?」と感じる方もいます。 制度の背景には一定の考え方がありますが、不安や疑問があるときは、まずは相談してみることが大切です。

【特別障害者手当・障害児福祉手当】

重度の障がいがあり、日常生活で常に介助や見守りが必要な方や、重い障がいをもつ20歳未満の児童を対象にした手当です。いずれも所得制限があり、支給の有無は世帯の収入状況などによって決まります。

  • 2025年4月からの支給額

・特別障害者手当(20歳以上):月額29,590円
・障害児福祉手当(20歳未満):月額15,690円

20歳以上と未満で金額に差があるのは、制度の目的が異なるためです。対象となる人の生活実態や支援の在り方の違いが、金額差に反映されています。

・障害児福祉手当の目的:子どもを育てる家庭の支援
・特別障害者手当の目的:大人の障がい者本人への生活支援

申請には市町村への届け出が必要で、医師の診断書や各種書類の提出が求められます。詳細な条件や必要書類は、お住まいの自治体で確認してください。

【生活保護】

他の制度を利用しても生活が困窮する場合に利用できる、最後のセーフティネットです。工賃収入があっても最低生活費に届かない場合は、その差額が支給されることがあります。

  • 生活保護には、以下のような支援が含まれています:

医療扶助:医療費の自己負担が免除され、必要な治療を受けやすくなります。
住宅扶助:家賃や住居費の一部が支給され、安定した住まいの確保に役立ちます。
生活扶助:食費や日用品など、日常生活に必要な費用の支援を受けられます。
その他の扶助:必要に応じて教育扶助や介護扶助なども利用できます。

就労継続支援B型の利用と併用が可能です。

毎月の出費を抑えられる”減免・割引”制度も

生活費の負担を軽くする制度として、公共料金や交通費、通信費などの割引制度があります。日常生活にかかる出費を少しでも減らすことができれば、気持ちにもゆとりが生まれます。

【自立支援医療による医療費の軽減】

  • 対象となる医療の区分

・精神通院医療(心療内科や精神科での外来治療)
・更生医療(手術や装具などを必要とする身体障がい者の医療)
・育成医療(18歳未満の児童が対象となる先天性疾患などの治療)

 

  • 自己負担は原則1割: 医療費の自己負担は原則1割となり、継続的な通院・治療が必要な方にとって大きな助けとなります。
  • 所得による制限あり: 世帯の所得に応じて、月額の自己負担上限が設定されています。利用にあたっては、住んでいる自治体での確認が必要です。

【携帯電話やインターネット料金の割引】

  • 主な対象プラン

・ドコモ(ハーティ割引)
・au(スマイルハート割引)
・ソフトバンク(ハートフレンド割引)

 

  • 割引や優遇あり: 基本料金の割引や通話料の優遇など、各社で異なる特典があります。
  • 確認が必要: 新料金プランでは適用されないこともあるため、最新の適用条件は各通信会社の公式サイトなどで確認が必要です。

【NHK受信料・水道料金などの減免】

  • NHK受信料の免除制度

・全額または半額免除:障がいの程度や世帯の収入状況などに応じて、受信料が全額または半額免除される制度があります。
・家族構成によって異なる:世帯全体の条件が関係するため、家族構成によっても適用が異なります。

  • 水道料金の減免制度

・減額あり:自治体によっては、障がい者手帳の所持などを条件に、水道料金の基本料金が減額される場合があります。
・自治体によって異なる:制度の有無や条件は地域ごとに異なるため、詳細はお住まいの自治体にご確認ください。

【バスや電車の運賃割引、福祉タクシー券の配布】

・運賃半額やタクシー券あり:公共交通機関の運賃が半額になる制度や、タクシー券による支援があります。
・移動の多い方におすすめ:通院や買い物などの移動が多い方にとって、継続的に役立つ制度です。

申請の進め方と相談窓口 

制度を利用するためには、書類の準備や担当窓口への相談が必要です。以下に、基本的な流れや確認しておきたいポイントをまとめました。

  • 相談できる窓口

・市町村の障がい福祉課
各種制度の申請や手続きを担当する、いちばん正式な窓口です。

・相談支援事業所
制度についてよく分からない段階でも相談ができます。必要に応じて、制度の説明や申請書類の準備を一緒におこなうこともあります。

・地域包括支援センター
高齢の方や、介護保険サービスとの併用が必要な方の相談に対応しています。

※「どこに相談すればよいか分からない」というときは、まずはお住まいの自治体の障がい福祉課に相談するのがおすすめです。

  • 主な申請書類の例

・障害者手帳や療育手帳
・所得証明書
・医師の診断書

※制度によって必要な書類は異なります。詳しい内容は、お住まいの自治体の障がい福祉課や相談支援事業所に確認するのがおすすめです。

  • 制度を上手に活用するコツ

・制度を組み合わせ利用もあり:複数の制度を組み合わせて使えるケースもあります。
・条件や併用可否を検討:制度ごとに条件や併用可否があるため、相談支援専門員などと一緒に検討しましょう。

◇鈴の音では、制度を“暮らしに活かす”お手伝いをしています

鈴の音では、「どんな制度があるか」だけでなく、「それをどう生活に役立てるか」を一緒に考えることを大切にしています。

たとえば、障害基礎年金の申請、自立支援医療の手続き、交通費助成の申請など、必要に応じてひとつずつ丁寧にサポートしています。利用される方の状況はさまざまなので、その方に合った使い方をご提案できるよう心がけています。

また、制度は時々変わることもあります。最新の情報を一緒に確認したり、更新の手続きをお手伝いしたりすることもできます。「これ、使えるのかな?」「ちょっとわかりにくいな」と感じたときは、どうぞ気軽に声をかけてください。

制度をうまく使って、安心して暮らしていけるように。鈴の音は、これからもそのお手伝いをしていきます。